2012年12月13日

続 発掘!

金井東裏遺跡の公開、現地説明会は昨日の一日限りでした。
群馬県埋蔵文化財調査事業団の説明では、甲を着た人骨は11月19日に出土し、12月10日の記者発表の間に有識者による調査考察があったとのこと。公開が一日限りとなったのは、脆い遺物のため(20日間も晒されてたし)早く取り上げないといけなかった、とのことです。
これから詳しい調査や保存処理などが施されるでしょう。また新たな報告があるのをたのしみにしたいと思います。

ところで、発掘調査補助員だったお話。

発掘現場へ行く前に「ぜったい人骨の出ないところで」とお願いすると、「人骨なんかめったに出えへんし、大丈夫、大丈夫」と一笑されて、ひと安心。ところが配属された技師さんの現場へ行って、知りました‥そこは縄文時代の墓地、そして数体の人骨が‥(焦)。
「うそや〜ん、めったに出えへんてゆうてたや〜ん‥(涙)」
何が出てくるかわからないのが発掘現場‥自分の認識の甘さに、泣く泣く骨と向き合い実測をした、というのが現場初体験です。

そこは粘土質の土壌でした。
「吉祥さん」がおっしゃるとおり、土壌や環境によって残(遺)ったり残らなかったりするんでしょう。
金井東裏遺跡の骨は何故残っていたのか、現説で質疑応答があったか知りたいですね。

話は戻って‥
現場実測を終えた骨は土ごと剥ぎ取られて、大学の研究者のところへ旅立っていきました。いま、どないしてるんかなあ‥。
歴史的意義として公開されることは必要だと思います。でも長期間展示されたままの人骨(よくある甕棺とか)は可哀相に思ってしまいます。いくら昔の人やといっても、なんだか死者の尊厳を奪っているようで‥。本人の許諾を得たわけでもないし‥なんてね。そんな風に思うのはおかしいでしょうか?


発掘現場では、土掘りから土器の接合復元まで、なかでも遺構と出土状況の実測をよくしました。

一番思い出深いのは、真野古墳(大津市真野)。
墳丘中央から見つかった割竹形木棺の中から、銅鏡(捩文鏡)1面と玉類、埴製舟形容器、埴製樋形容器、鉄製品が出ました。捩文鏡は大津市初、埴製容器2つも県内では初出土。

来る日も来る日も地面に這いつくばって、埴製舟形容器を実測しました。
記者発表の日に、別の大きな事件が起こり、これら出土品の記事がすっ飛んだのも悔しい思い出です。
埴製舟形容器のレプリカは今、大津市歴史博物館の常設展示室に列んでいます。たまに(ホントによく出来たレプリカに)会いに行きます。



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この記事へのコメント
福山さん、はじめまして・・・。吉祥さんのブログで紹介されてから時々拝見しています。最近、遺跡にも興味を抱き、時々出かけています。
守山市駅近くのビル建設現場で、この辺りは弥生時代の遺跡があるとの事で、守山市文化財保護課の指導で、一時的にビル建設の工事が止められ、発掘作業が始まりました。竪穴住居の跡や勾玉などが出てきました。発掘現場を見ていましたら、発掘調査員の女性の方が招いて下さり、説明を受けました。その発掘調査員はかなり慣れているのか、測量などもテキパキと実施していました。調査員の方も、丁寧さと忍耐がいるかと思って見ていましたが・・・。先日栗東市の古墳巡りにも参加し、観光ボランティアガイドの方から多くの説明を受けました。栗東市出土文化財センターで、出土品の復元作業も見る事が出来ました。古代のロマンに接していると、心が躍ってきますね。
Posted by kobatoan at 2012年12月14日 10:28
 わたしも2年半前、草津市の発掘調査員の応募をしました。でも私が脳梗塞になって応募しませんでした。

 いま歴史の勉強で昔発掘調査員のかた2名もおられるので、勉強になるんです。月に1回の会合ですが。
Posted by そば打ちおじさんそば打ちおじさん at 2012年12月15日 00:06
to kobatoanさん

コメントありがとうございます。
守山駅前もどんどんビルが建っていきますね。スケッチした木造の倉庫も姿を消しました。

発掘作業も掘り始めは力仕事です。若者よりも年輩の方々のほうが力があって(私のチームは当初女性ばかり‥お孫さんがいらっしゃる方も)、一輪車も満足に使いこなせなかった私は頭が下がってばかりでした。
変わった土器片や勾玉なんか出てきたら、みんな少女のように大喜びでした♪

もし差し支えがなければ、kobatoanさんのブログタイトルか検索ワードをお教え下さいね。
携帯オンリーだと、何かと機能が不十分みたいで‥こちらから辿れる方法がわからなくて‥すみません。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by by sho惑星 at 2012年12月15日 01:40
to そば打ちおじさん

せっかく応募されたのに残念でしたね。
でも、いまいろいろと勉強されていて、私も見習いたいと思います。
またいろんな事をお教え下さいね。あ、もちろんお野菜のことなども♪
Posted by by sho惑星 at 2012年12月15日 01:52
おはようございます。
発掘現場の様子ですが、生々しい話しですね。昭和20年代頃までは土葬でしたが、当時聞いていたのは骨は消えて最後は土に帰るものと考えていました。それが一度に数体も出土とは。

縄文時代は1万年以上もありますが、仮に一番後期の縄文として今から2400年ほどの前の人骨?。残っているんですね。

時々遺跡の現説にでかけています。現場に行くと大抵出土した遺物の何点かが、机に並べられていて技師さんが説明されます。
しかし今まで人骨が展示してあったのはなかったです。
胸骨が置いてあって、こちらは縄文の胸骨で性別は男性です。推定年齢は20才~30才で、なんて説明が入ったらブルッで夜夢枕に出てきそうです。

生々しい話しはその程度にして、遺物の紹介ですが詳しいですね。実物を見ないとそれがどのようなものか分かりません。
私もここ最近どういう訳か遺跡の発掘に興味を持つようになりました。中世から近世にかけての出版物は沢山でているのですが、考古学の本で初心者向けのは少ないように感じています。
少しずつ勉強していきたいなぁーと考えていますので、色々とまた教えてくださいね。
Posted by 吉祥吉祥 at 2012年12月15日 08:41
福山さん、早速のコメント頂きありがとうございます。遺跡に興味を抱いている方は、心が温かい方ばかりと理解しています。性善説過ぎますかね。
ブログは前に、吉祥さんに勧められたのですが、私自身は「ホームページ」を開いているので、そちらで自分なりの思い出を作っています。
googleの検索でkobatoanと検索すれば、私のホームページのURLがすぐわかりますが、私のホームページは重いので、見られない方が良いかもしれません。時々福山さんのブログも拝見させていただきます。福山さんが展示会を開くときがあれば教えて下さい(ブルグへの掲載で良いのですが・・)。
Posted by kobatoan at 2012年12月15日 11:59
かじや村ってしりませんでした。
吉田酒造のラベルにつかわれているんですね。

大津の小川酒店のブログ 「酒屋日記」 にでてきました。

http://yaplog.jp/akemi です。
Posted by そば打ちおじさんそば打ちおじさん at 2012年12月15日 15:03
こんばんは
発掘現場の様子 興味深く拝見させて頂きました~^^
良い経験されましたね!!

発掘で色んなものが出土したり、柱の跡が見つかったりしますね
柱の大きさ等 土の色の違いや硬さで解るんだと思いますが、発掘のお手伝いをしながら
刷毛で掃き、実際にこの目で出土品や住居の跡等を見たいと思いました~^^

子どもの頃 果樹園の草掻きを手伝っていると土器の破片が出て来て
それを学校で発表したことがあったんです!!
もっと昔は壺も出たと父が言ってましたが、無関心な時代だったんですね。
集めた破片をみかん箱に入れ、縁の下に長い間残っていたのですが、改築した時処分したようでした。
そんなことから考古学に少し興味があります~^^;
Posted by パルパル at 2012年12月15日 19:29
はじめまして。福山さん。出遅れたコメントですが、ブログ開設おめでとうございます。以後、更新のたびに楽しく拝読しています。また朝日新聞の「絵と文」は、だいぶ以前からのファンで、特に文章にはいつも感動しています。「ああっ情景もこんな表現方法があるのか〜っと感心したり、それに、そこに生活している人たちに対する暖かい眼差しを感じますし、ときおり涙が溢れてきたりもします。私はあと数日で還暦を向かえますので、涙もろくなっていることは確かですが、それでも、人前で読んで涙ぐむときは、たぶん周りの人たちに訝しく思われているかもしれません。私も福山さんと同様、パソコンは持っていないので、携帯一本の人間です。今年の冬は久々に寒いと聞いていますので、今後とも身体には気をつけて、素敵な絵と文とブログ作りに励まれますよう、ご活躍をお祈りしています。
Posted by ヒゲさん at 2012年12月16日 07:26
to 吉祥さん

少し補足をしておきますと、遺りのよかった縄文人はお一人。他はちょっとずつ(‥という言い方も結構恐ろしい‥)。

子どもの頃から日本史が好きですが、発掘現場に行こうと思ったのは、発掘作業自体に興味があった、それなら実際やってみなければ、と、とにかく学問というより過剰な好奇心に衝き動かされて、でした。
少しは勉強しなければ‥と本も買いましたが‥何年も携わっていたわりに、学術的な知識はちっとも身についていません(汗)。
発掘作業で、自分の目で発見した事に感心したりおもしろがったり。報告書には絶対載らない現場目線のエピソードなら、お話できるのですが‥。

頼りないことで申し訳ありません。一緒に勉強させて下さい。
Posted by by sho惑星 at 2012年12月18日 12:11
to kobatoanさん

拝見しました。
案外、携帯電話も使えるもので、画像も見られました。
ありとあらゆるものに造詣が深く、また学ばれている姿に、私も見習わなければと感じ入りました。
近江妙蓮の本を出されている中川原先生は恩師です。

いろんな所へお出かけされているので、ここは!というオススメの場所なども、これから拝見させていただけるのを愉しみにしていますね。
ご紹介くださってありがとうございます。
Posted by by sho惑星 at 2012年12月18日 12:14
to そば打ちおじさん

「かじや村」のラベル、もう何年か前になりますが、描かせてもらいました。仕込みは海津の吉田酒造さんで、酒米は安曇川のお米です。
「かじや村、福山聖子」で検索してもらえば、ラベルになったいきさつが分かっていただけるかと。
すっきりした美味しい純米酒ですよ♪
そば打ちおじさんは、ご自分で打たれたお蕎麦と一献いただかれるのでしょうか。
Posted by by sho惑星 at 2012年12月18日 12:16
to パルさん

おうちの果樹園から土器片が出てきたのですか〜!
すごーい!
それはそれは興味が湧きますよね♪いくつか繋がったら土器の全容が解ったかも〜。
今も果樹園の近くで遺跡の報告なんかないでしょうか。縄文や弥生のむら跡だったのかな。

時を超えて自分も同じ場所で営んでいるんだと思うと、不思議でワクワクしますね♪
パルさんのキモチ、すごくよくわかります!
Posted by by sho惑星 at 2012年12月18日 12:21
to ヒゲさん

嬉しいコメントありがとうございます♪
いつも応援、励ましてくださってるおかげで、がんばれています。
未熟ですが日々精進しますので、これからもよろしくお願いいたします。

HAPPY BIRTHDAY〜♪
Posted by by sho惑星 at 2012年12月18日 13:10
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福山聖子(ふくやましょうこ)
近江のまちや里山の佇まい、そこにある飾らない暮らしの風景を愛し、絵や文で綴っています。

朝日新聞滋賀版・毎木曜朝刊に滋賀県内各地の風景を連載中
朝日新聞紙面ビューアーにて、他府県からも滋賀版が閲覧可能

画文集『夕げの匂い オレンジ色の空』2010年刊行(完売 在庫なし)
第2集『水のしらべ 琵琶湖のうた』(ナカニシヤ出版)2016年刊行
第3集『いとしの やさしい町』(ナカニシヤ出版)2023年刊行

NSP ベストアルバム
「BesTimes 〜夕暮れ 時々 さびしそう」2020年発売
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